2018年11月5日月曜日

小論文「あるある」①

気がつくと課題文と同じことを言っている。
自分の意見を述べるべきなのに、課題文の要約になっている。

課題文を踏まえて自分自身の意見を主張すべき論文で、主張も論拠も課題文の筆者と同じ、課題文の要約を書いてしまう方がけっこういます。

もちろん、主張は課題文と同じでもいいのです。

しかしながら、主張が同じであれば論拠は課題文で取り上げられていないものを挙げる必要がある。

課題文の筆者と同じ意見を別の角度から述べる必要があります。

でなければ、それはあなたの論文ではなく、課題文の要約になってしまいますよね。


なぜこのようなことになるのか?


理由はいくつかあると思いますが、まず一番多いのが、課題文で取り上げているようなテーマについて、これまで一度も考えたことがないので、自分自身の主張や論拠を思いつかない。

だから課題文にどうしても引っ張られてしまう。

課題文の主張がすべて正しいと思ってしまい、それを疑ってみるとか、相対化してみるといったことができない。


次によくあるのが、課題文として取り上げられるような本や論文を書く人の意見なんだから、自分の意見や考えよりも優れているに決まっている、これに反論しても無駄だと思ってしまう。

こういう権威に弱い人が意外と多いんですよ、特に若い人は。

もちろん、謙虚であることは必要ですが、論文を書くからには何かしら自分の意見を主張しなくてはいけない。

課題文はいつも正しいとは限らないし、おかしな主張や非論理的な主張をしているものもけっこうあります。

課題文の主張は常に正しいとは思わないことです。


三番目として、課題文に反論すると点数や評価が下がるのではないかと思っている人がけっこういる。

試験の問題としてその文章を出してくるからには、出題者はその課題文の主張を正しいものとみなしているのだろうと、勝手に推測してしまう。

で、それに異を唱えたりすると、出題者の印象は悪くなってしまい、結果として点数や評価が低くなってしまうのではないか。

だから、課題文の筆者の主張には逆らわないほうがいいんじゃないか。

こんな風に考える人が、意外なことにけっこういるんですよ。


でも、そんなことは決してないですから、安心して反論してください。

課題文とは異なる論拠を挙げてください。

小論文の評価は意見や立場によって差がつくということはほとんどありません。

あるテーマについて、賛成と書いたから評価が高くなることもないですし、反対と書いたからと言って点数が低くなるということもありません。

大事なのはそのような意見の論拠がどれだけ論理的かつ明確に、わかりやすく書かれているか、説得力があるか。

ここで評価が決まります。


主張も論拠も課題文と同じでは、オリジナリティが全くありませんから、評価は低いものとなってしまいます。

なので課題文と同じ主張をするのであれば、課題文とは異なる論拠に基づいて議論を展開する必要があります。