2018年7月14日土曜日

小論文の書き方③:テーマの重要性

前回は小論文とは何か、作文や感想文とはどこが違うのかについて書きました。

今回からは、具体的に小論文をどのように書けばいいのか、順番に説明していきます。

まず最初にやるべきことはテーマを明確にすることです。

あなたがこれから書く論文で、いったい何について書くのか、これをなるべく一つに絞り、論文の冒頭ではっきりと述べる必要があります。

普段、塾で教えているなかで、いろんな生徒さんの書いた論文を読む機会があります。

それらの中には、テーマがはっきりしない論文や、前半と後半でテーマが異なる論文などがけっこうあります

何について書かれた論文なのかはっきりしない、テーマが明確でない論文は、ともすると何を言ってるのかよくわからない論文となってしまいます。


また、一つの論文の中で複数のテーマを設定するのも避けたほうがよいでしょう。

もちろん、字数が4000字(原稿用紙10枚)とか、ボリュームのある論文でしたら、複数のテーマを設定して前半と後半で内容を分けるなどといったことも可能ですが、通常の600字~1000字程度の論文では、やはりテーマは一つに絞るべきです。


では、テーマはどんなものでも構わないのか、自由に選んでもよいのか?

必ずしもそうではありません。

論文の出題形式には様々な形がありますが、よくあるのが「・・・について、あなたの考えを800字程度で述べなさい」というもの。

最初からテーマが指定されているものです。

これのバリエーションとしては、「・・・について、あなたの体験をまじえながら、1200字で論じなさい」とか、「・・・についてあなたは賛成か、反対か。その根拠も明確にして1000字で論じなさい」といったようなもの。

どれもテーマが既に設定されている。

こういった論文では、当然のことながら与えられたテーマについて、正面から論じる必要があります。


なぜこんな当たり前のことをわざわざ書くかというと、これができていない論文を書く人がわりといるからなのです。

例えば、「(与えられたテーマである)・・・について考えるためには、その原因となる×××について論じる必要がある」とか、「・・・について論ぜよとのことであるが、これと関連が深いと思われる×××に関して、私自身興味深い経験をしたことがある」とか。

こんな風に、最初にテーマが与えられているにもかかわらず、それを自分の都合でずらしてしまう。

こういう書き方をする人がけっこういるんですよ。


あるいは、このようにはっきりとテーマをずらすわけではありませんが、最初から最後まで読むと、どうも与えられたテーマについて正面から取り組んでいない。

そのテーマとは関連はあるが別の事柄について論じている。

こういった論文を書く人も多い。

しかしそれではやはり評価は低くなります。

採点者が読めば、テーマがずれているのははっきりわかりますから。


ではなぜ、このように与えられたテーマとは少しずれたテーマについて書くことになるのか。

授業で質問すると、だいたい皆さん、同じことを言うんですよ。

「与えられたテーマの・・・については何を書けばよいのか、よくわからなかった。書けそうになかった。だから、それと関連する×××についてなら書けそうだったので、それにしたんです。」

ほとんどの人がこういうことを言います。

しかし、そこはやはり頑張って、与えられたテーマに正面から向き合い、何かしらの意見をひねり出す必要があります


次によくある出題形式が、課題文を読ませて、それについての意見を書かせるもの。

例えば、「次の文章を読んで、あなたの考えを800字以内で論じなさい」とか、「次の課題文を読み、①筆者の意見を400字以内で要約したうえで、②あなたの意見を800字程度で述べなさい」など。

こういった課題文型の小論文ではどのようなテーマを設定するべきか。

これは当然、その課題文が論じているテーマをあなたの論文のテーマとするのが王道です。

課題文を一読すると、いろんなことが書かれているように思えるかもしれませんが、要するに何について、どうだと言っているのか、その中心となるテーマは何なのか、それに対する課題文の筆者の意見はどのようなものなのかを読みとらなくてはいけません。

それがわかれば、あなたが書くべき論文のテーマも決まってきます。

その課題文のメインのテーマ、これについて書くのがベストでしょう。

どうしてもそれについては書けそうにない、課題文の筆者と全く同じ意見しか出てこない、ということであれば、少しずれたテーマで書くことも許容範囲といえるでしょう。

ただやはり、評価はどうしても低くなってしまうことは否めません。

先ほどと同様、課題文型の問題でもやはり、その中心テーマに正面から取り組むようにすべきです。