2019年2月15日金曜日

小論文の書き方⑩:様々な課題文の読み方と扱い方2

(前回からの続き)

2.長めの論説等が提示されている課題文

これはいわゆるオーソドックスな課題文型の論文です。

ある程度ボリュームのある文章を読ませ、それを踏まえて論文を書かせるというもので、小論文の試験のほとんどがこのパターンに当てはまります。

この手の問題も厳密に見ていくといくつかのタイプに分けることができます。

(1)課題文を読ませたうえで自由に論じさせるもの

まず第一のタイプとして、「次の課題文を読み、あなたの考えを述べなさい」というように、皆さんの考えを自由に論じさせるものがあります。

ここで注意すべきことは、「自由に述べなさい」と書かれているからといって、なんでも思ったことを自由に書けばよいということではないということです。

与えられた課題文にはほとんどの場合、中心となるテーマがあります。

このテーマをきちんと読みとり、これに関した問題設定をして意見を述べる必要があります。

場合によってはテーマが複数あることもありますが、そのような場合でもなるべく重要度の高いテーマ、中心的テーマを読みとり、それについてあなたがどう考えるのかを述べなくてはなりません。

課題文の中で少し触れられているだけのテーマや、例として挙げられているエピソードなどを取り上げ、それについていくら細かく論じても、あまり高い評価にはつながりません。

また、そもそも課題文で取り上げられていない事柄や、課題文の議論とずれたテーマについて論じるのも同様です。

「あなたの考えを述べなさい」と書かれているからといって、なんでも自由に書けばよいということではないのです。

「そんなこと当たり前じゃん!」と思われる読者も多いかと思いますが、普段論文を指導している中で、そういったずれた論文を書く生徒さんや、課題文で取り上げられているエピソード、具体例について長々と書いてしまう生徒さんがけっこう多いのです。

やはり、議論の本質は何か、課題文で展開されている論理の構造を把握することに留意しながら読むことが重要です。


(2)まず最初に課題文を要約させたうえで、意見を論じさせるもの

二番目のタイプとして、「課題文で述べられている筆者の意見を要約したうえで、あなたの考えを述べなさい」とか、「課題文の筆者の考えを要約し、それについてあなたは賛成か反対か、理由を明確にしつつ論じなさい」といったものがあります。

これは一見すると要約するのが面倒な気がしますが、要約することによって課題文で述べられている中心テーマが何なのか、明確にわかりますし、それに即した論文を書くことができるため、(1)に比べるとむしろ書きやすいともいえます。

前半の要約がきちんとできれば、そんなにずれた論文を書くことはないからです。

そのためにはもちろん、課題文を正確に読みとる読解力、およびそれを簡潔にまとめる記述力が必要となります。


(3)課題文を読ませたうえで、テーマを指定して書かせるもの

三つ目として、「次の課題文を読み、○○についてあなたの考えを述べなさい」とか、「課題文を踏まえて、○○についてあなたは賛成か反対か、理由を明確にしたうえで論じなさい」といったものがあります。

これもテーマがはっきりと設定されているぶん、(1)と比べると書きやすいと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、指定されているテーマについて正面から論じる必要があります。