2023年10月3日火曜日

小論文「あるある」⑦

要約が本文のコピペである


小論文の問題では最初に課題文の要約を要求するものがよくあります。

例えば問1で課題文を要約させて、問2でそれを踏まえて自分の意見を述べさせるというような問題です。

こういった要約の問題では、課題文からいくつかの文をそのまままカット&ペーストするのではなく、自分の言葉に置き換えてまとめる必要があります。

もちろん、課題文に出てくるキーワードはきちんと盛り込む必要がありますし、課題文中の言い回しをそのまま使用するのも構いませんが、「てにをは」に至るまで課題文そのままではまずいでしょう。

筆者の文章を、内容は変えずに自分の言葉に置き換えて簡潔にまとめる、これが要約です。

2022年12月8日木曜日

小論文は得点源か?

大学入試で小論文が受験科目に含まれている場合、きちんと準備をしていけば、他の教科に比べて小論文は非常に大きな得点源となりえます。

普段から受験生たちを見ていると、皆さん英語や数学など学科の勉強は一生懸命やるのですが、小論文に関しては「作文と一緒だろう」とか、「ちょっとした文章ぐらいその場で書ける」などと考え、ほとんど準備をしない人がけっこういるのです。

難関校になればなるほど、英語や社会などの学科に関しては、皆さんしっかりと準備をしてきている分、あまり大きな点差はつきにくいでしょう。

それに比べて小論文は、きちんと準備をしてきた人と、全く何の準備もせずにぶっつけ本番で試験に臨む人とで、大きな点差がつきます。


ネット上ではよく、一部の学生などが「小論文なんて合否に関係ない。やっても意味ない」というような発言をしていますね。

これを真に受けて、ほんとに準備をしない受験生がけっこういるのです。

でも、そういった発言の根拠といえば、結局のところ「自分はやらなくても受かったから」ということに尽きるのです。


合否に関係ないのであれば、なぜ、これまで何十年間も慶應大学は小論文を入試科目にしているのか?

しかも、文系の全学部で?

はたしてそんな無駄なことをするでしょうか?


「合否に関係ない」という一学生の発言と、毎年毎年、入試科目に小論文を課している大学側の意図と、はたしてどちらを信用するべきか?

ちょっと考えれば答えは明らかですよね。

この程度の判断力がないようでは、一流大学には到底合格できません。


何の準備もしないで受験する愚かな人たちが一定数いるおかげで、少し準備をすればかなり点差をつけることができる、得点源とすることができるのが小論文です。

ですから、受検科目に小論文が含まれている大学を受ける方は、学科の勉強だけでなく小論文もきちんと準備をしてください。


受験においては、大学側の意図を想像することが大切です。

なぜそのような問題を出すのか?

入試科目や科目ごとの配点比率が、なぜそのようになっているのか?

大学がどのような学生をとりたがっているのかは、すべてこういった点に表れているのです。

受験生の皆さんとせいぜい2,3歳しか違わない先輩の意見を鵜呑みにするのは危険です。


2020年12月8日火曜日

小論文の書き方⑬:どこかで読んだ話をベースに論を進める?

小論文を書く場合、いわゆる「ネタ」は多ければ多いほどいいのです。

そもそも、あるテーマに関して我々凡人が思いつく程度の議論は、ほとんど例外なく、過去の偉人がすでに書物や論文という形で徹底的かつ詳細に議論し尽くしていると考えて差支えないでしょう。

我々が「自分自身の考え」として何らかの主張をしたところで、それがまったくのオリジナルな議論であるといったことはほとんどない。

ですから、普段から様々な書物を読み、広範なテーマに関してネタを仕入れていく、で、課題文で与えられたテーマに関して、その中から使えそうなネタを探すということは決して悪いことではありません。

むしろ、どんなテーマが与えられても、それについて3つも4つも異なるストーリーで論文が書けるほど、頭の中にストックをため込んでいるということが、論文を書くうえでは非常に役立ちます。

それくらいの知識があれば、はっきり言ってもう論文の勉強なんてしなくていい。

 少なくとも大学入試の試験対策としては。


 だから、どこかで読んだ話をベースに自分の論文を書くことは、入試や就職試験の小論文では反則でもルール違反でもありません。

しろ、普段から読書を通じて、それができるくらいの知識のストックを準備しておくとよいでしょう。

読書量は小論文を書くうえで最も重要なファクターですので、書けるようになりたければ普段からガンガン読んでいってください。

「バカになるほど本を読め」というタイトルの本がありましたけど、まさに名言だと思います。

書痴なんて言葉もありますが、とにかく普段からどんどん読むこと。

少しでも興味を持ったテーマやおもしろそうな話題があったら、それに関する本をアマゾンなんかでまとめ買いする。

で、端から読んでいって、どんどん知識を吸収していく。


 もちろん、大学の卒業論文や修士論文・博士論文など、学術的な論文ではオリジナリティが求められます。

そういった場合には書物で読んだ議論の受け売りはご法度であり、引用した場合にはきちんとその出典を明らかにする必要があります。

しかしながら、就職試験や大学入試の論文ではそこまで厳しくオリジナリティを問われることはありません。

受験生の皆さんのほとんどは、なにも学者や作家を目指しているわけではないからです。

ですから受験生の皆さんは、貪欲にネタを仕入れ、試験ではそれを安心して使えば良いと思います。


 受け売りでいいんですよ。

むしろ、どんなテーマがきても、他人の議論の受け売りで語れるぐらいの読書量がある、知識があるということは素晴らしいじゃないですか。

実際には読書量が少なすぎて受け売りすらできない人がほとんどであり、そのほうが問題だと思います。

とにかくまともな本を読まなくなってきている。

SNSとかゲームとか、くだらない暇つぶししかできない、活字を読めない大人が急速に増えてきている。

数十年前と比べると、日本人の知的レベルって驚くほど下がってきていると実感します。

皆さんは受け売りできるぐらい本を読んで知識をつけてください。


 ただし、テレビやラジオで聞いた話、コメンテーターの話を引用したり、そのまま書くのは注意が必要です。

彼らのコメントの多くはただの感想や主観的印象であることがほとんどであり、ぜんぜん論理的ではない。

事実に基づいていない、あるいは事実に反することが多いのです。

論文はあくまで論理で書くものであり、感情論を書いてもただの感想文にしかなりません。

したがって、テレビに出てくる評論家やコメンテーターが面白おかしく話す内容をそのまま論文の試験で書いても、評価は低いものとなってしまいます。

彼らは視聴者の感情に訴えかけることには長けているため、一見もっともらしいことを言っているように聞こえます。

ですが、少し立ち止まって考えてみると、彼らがいかにいい加減なことをその場の思いつきで発言しているのか、その論理性のなさ、なんら事実や証拠に基づかない感情的意見を述べているか、簡単にわかるはずです。

そのようなことは論文では書いてはいけない。


 マスコミや世間の論調というのはたいてい、「そうであってほしい」、「そうであってくれないと困る」という多くの人々の願望に過ぎないものが多い

当たり前だけど、そこに論理や証拠なんかない。

だから、こういうことをそのまま論文に書いてはダメなんですよ。

むしろ、世論を常に疑うという態度こそ、論文を書くために必要なセンスといえるでしょう。

まずは多数派意見を疑ってみること、そのうえで、なぜ多くの人々がそのように考えるのか、その理由について考えてみること。

これ、小論文を書けるようになるための訓練としてけっこう役に立つと思いますので、普段から意識しておくとよいでしょう。

小論文の書き方⑫:新聞記事など、主張があいまいな課題文

小論文の試験では様々な種類の課題文が出題されますが、その中でもよく出されるものとして新聞記事があります。

新聞記事から抜粋した課題文の場合、あるテーマについて、賛成論と反対論の両方が書いてあって、最後に「・・・はこれからの日本を左右する重要な問題である。国民の間での真剣な議論が必要であろう。」みたいな感じで終わるものが多いですよね。

その記事を書いた人自身の主張はどっちなのか、賛成か反対か、はっきりとは書かない。

様々な人にインタビューして拾ってきた発言の一部を列挙し、賛成論と反対論を自分の意見としてではなく、そういった人々の言葉として紹介していく。

で、最後の最後でも自分の意見は言わずに、「われわれ国民みんなが真剣に議論すべきだ」なんて言って、お茶を濁す。


こういった課題文について小論文を書く場合も、最初に述べた通り、皆さんは自分の主張や意見をはっきりと述べなくてはならない。

その問題について賛成か反対か、立場を明確にする必要があります。

課題文の新聞記事に引っ張られて、「難しい問題だ」とか「われわれ一人ひとりがもう一度、真剣に考えるべきだ」なんて曖昧なことを書いてはいけないのです。

それは新聞記事だけで十分。

試験で小論文を書かせるということは、みなさん自身の意見を聞きたいわけですよ、出題する側としては。

だから、そのような出題者の要望にきちんと答えなくてはいけない。


これは何も小論文に限ったことではないのですが、色々な試験、特に記述式の試験では、出題者の意図を正確に読み取り、それにきちんと答える形で解答を作成するというのが鉄則です。

出題者はその問題を通して何を聞きたがっているのか、どういう知識を要求しているのか、何を書かせたがっているのか...。

これをきちんと読みとって、出題者が満足するような解答をする必要があります。


小論文を試験として課すということは、出題したテーマについてあなたがどのような意見を持っているのか、それをいかに論理的にわかりやすく説明できるのか、こういった能力を見たいわけですよ。

だから主張と論拠を必ず書かなくてはいけない。

これらを明示しない新聞記事などが課題文として出題された場合でも、この原則は必ず押さえるようにしてください。


2019年6月11日火曜日

小論文「あるある」⑥

「我々は・・・するように心がけるべきだ」とか「・・・しないように注意すべきだ」など、心がけや考え方を変えることを解決策や結論として提示してしまう。


前回の「小論文あるある⑤」で書いたリアリティのない解決策にはもう一つのパターンがあります。

それは、解決すべき問題に関して、「○○から××へと考え方を変えていく必要がある」とか、「○○するように、一人ひとりが心がける必要がある」といった結論を書いてしまうもの。

これも、何に対してでも、どんな問題に対しても言えるじゃないですか

で、例えば日本国内の問題であれば、我々日本人の大多数が認識を改め、行動を変えることである程度解決するかもしれない。

もし本当にそんなことができるんだったら、わりと解決すると思うんですよ。


でも、問題は「考えを変えなさい、行動を変えなさい」と言われても、そう言われただけではほとんどの人が変わらないということなんです。

だから、こんな結論は言っても無駄だし、なんら解決策にならない。

書いても意味がないんです。


例えば少子化問題について。

このままでは人口が減少して国力が衰退するから、我々は明日から心を入れ替えて子作りに励むべきだ、独身者は一刻も早く結婚相手を見つけ、できれば3人、4人と子どもを産み育てるべきだ。

こう言われて「はいわかりました」と、「明日から婚活や妊活頑張ります」となるでしょうか?

多くの人がそのように意識や行動を変えればもちろん効果はありますよ。

しかし実際には、そうするように言われたからといって、ほとんどの人は考えや行動を変えないでしょう。

だからリアリティがないんですよ、「気持ち」や「心がけ」を変えればよいという解決策では。


そうではなくて、多くの人が実際に行動を変えるような仕組み、制度について論じなければならない。

現実に人を動かす、人々の認識や行動を変える力がある仕組みは、やはり金銭的インセンティブや罰則を伴う法律でしょう。


もちろん、流行や影響力のある人々の発言や行動などによって少なからぬ人々に影響を与え、動かすことはできる。

しかし、だからといって意図したとおりに流行を作り出すということは難しいでしょうし、スポーツ選手やタレントなど社会的影響力のある人に国の政策に即した発言をさせるなんていうのも、ちょっとどうかと思いますよね。

やはり金銭的なインセンティブや法律を軸にして、現行のシステムをどう変えていくのか、どんなシステムを新たに作っていくのか、これについて論じていくのが問題解決型小論文の正攻法だと思います。

金銭的インセンティブとしては助成金や減税、法律に関しては既存の法律を改正する、ないしは新たな法律を作るということになります。


例えば先ほどあげた少子化問題を例に挙げると、やはりこの二点から論じられることが多いですよね。

金銭的インセンティブとしては子供手当のようなものや減税ですね。

子ども一人につき月額いくらの補助金を出すとか、3人目以降はいくらにするとか。

あるいは、子どもがいる家庭に対する扶養控除、税額控除などをさらに拡大する。

また、過疎化に悩む地方の自治体などでは、子どもがいる家族が引っ越してくると空き家をただで借りられるとか、格安の土地と住宅が与えられるなどというのもありますよね。

こういった金銭的インセンティブを与えることで、出生率を上げようとする方法が一つあります。


もうひとつは法律。

例えばこの場合でしたら、企業がすべての従業員に対して確実に出産・育児休暇を取らせることを徹底するよう、新たな法律をつくってそれを義務化する、違反した場合には何らかの罰則を与えるなどが考えられます。

あるいは外国人労働者や移民の受け入れを促進するような法改正も有効でしょう。

欧米諸国が日本などの東アジア地域に比べると出生率が高く、少子化問題がそれほど深刻ではない理由は、移民の出生率が高いからです。

もちろん移民の受け入れに伴う問題は様々あるでしょうが、単純に出生率を上げることだけを考えると、かなり有効な政策ではあるでしょう。

そのためには、そのような方向へ導くための法整備が必要です。

このように、社会問題の多くは金銭的インセンティブと法律という二つの軸から論じることで、リアリティのある議論ができるのです。


2019年2月19日火曜日

小論文の書き方⑪:様々な課題文の読み方と扱い方3

(前回の続き)

3.その他

(1)複数の課題文が提示され、それぞれを読み比べたり比較したりするもの

一部の大学入試問題などでは、複数の資料や課題文を読ませ、それらについて比較検討させるもの、それらの中からいくつかピックアップして論じさせるものなど、課題を読むだけでもかなりの時間がかかるものがあります。

これらを解くうえで重要なことは、

1.読むスピード

2.それぞれの資料や課題文の要点を把握すること

3.それぞれの資料や課題文の相互の関連性や類似、相違などを読みとること

3点です。

そのためには何よりも正確な読解力と読解スピードが必要になります。


例えば、このような問題の典型として慶應義塾大学SFCの入試問題が挙げられます。

毎年、大量の資料を読ませたうえで、それらを参考にしながら政策や新製品の開発プラン、大学での新たな授業の構想など、オリジナルなアイデアを考えさせ、それを図なども交えながら説明させるという形で出題されています。

年度にもよりますが、これらの大量の資料をすべて熟読していたのでは到底時間内に間に合いません。

資料をある程度は流し読みしながら速読し、それぞれの資料の要点をつかむ。

そのうえで各資料の相互の関連性を把握し、自分が書く論文にはどの資料が特に重要か、あるいは逆にどの資料はさほど重要ではないのかなど、短時間で読み取り、分析する力が必要です。

上に述べた三点を、普段の勉強においても意識して取り組むことで身につける必要があります。


(2)グラフや図表など資料の読みとり

グラフや図表などの資料を提示し、その読み取りおよび解釈を要求する問題もよく出題されます。

例えば、「次の資料から読み取れることを400字程度でまとめ、どのような問題が生じているか、またそれに対する解決策は何か、400字程度であなたの意見を述べなさい」というような問題です。

資料の読みとりの問題ではまず、グラフや表から読み取れる事実のみを書かなくてはいけません。


普段、生徒さんの論文を見ていると、その多くが最初から結論ありきで、ステレオタイプな意見や解釈を書いてしまうケースが非常に多いのです。

資料として与えられたグラフや表からは必ずしもそのような意見や解釈は出てこない。

場合によってはむしろ逆の主張や解釈を支持するような資料であったりする。

にもかかわらず、マスコミや世間でよく言われているような意見なり主張なりを最初から無条件で正しいものとして論じ、それにフィットする部分だけをグラフや資料から恣意的に切り取って議論をすすめてしまう。

結果として、資料の解釈において「木を見て森を見ず」ということになってしまう。

即ち、グラフや表の細部にばかり目が行き、それらが表わしている大きなトレンドを見逃してしまうのです。


資料の読み取りの問題ではまず、先入観や固定観念は捨て、頭の中を白紙の状態にしてください。

そのうえで、表やグラフから読み取れる事実だけに着目しなければならない。

その際、どこに着目すればよいのか。

グラフや図表は情報量が多いので、そこに様々な事実が表れている。

したがってこれら全てに着目し、それを逐一言葉で説明していくと、文字数がいくらあっても足りなくなりますし、全体として何が言いたいのかよくわからないということになってしまう。

そうならないためには、資料から読み取れる事実に優先順位をつけ、順位の高い順にいくつかピックアップして書いていく必要があります。


では、優先順位はどのように決めればよいのか?

グラフでも図表でもそうですが、まずは一番大きなトレンドが優先順位の一番目に来ます。

次に大きなトレンドが二番目、その次が三番…というように、大きなところから順に見ていくとよいでしょう。

たいていの問題の場合、細部は無視してかまわない

むしろ、細部にばかりこだわって、大きなトレンドを見落としてしまう、ないしはそれについて触れていないといった間違いのほうが圧倒的に多いのです。

2019年2月15日金曜日

小論文の書き方⑩:様々な課題文の読み方と扱い方2

(前回からの続き)

2.長めの論説等が提示されている課題文

これはいわゆるオーソドックスな課題文型の論文です。

ある程度ボリュームのある文章を読ませ、それを踏まえて論文を書かせるというもので、小論文の試験のほとんどがこのパターンに当てはまります。

この手の問題も厳密に見ていくといくつかのタイプに分けることができます。

(1)課題文を読ませたうえで自由に論じさせるもの

まず第一のタイプとして、「次の課題文を読み、あなたの考えを述べなさい」というように、皆さんの考えを自由に論じさせるものがあります。

ここで注意すべきことは、「自由に述べなさい」と書かれているからといって、なんでも思ったことを自由に書けばよいということではないということです。

与えられた課題文にはほとんどの場合、中心となるテーマがあります。

このテーマをきちんと読みとり、これに関した問題設定をして意見を述べる必要があります。

場合によってはテーマが複数あることもありますが、そのような場合でもなるべく重要度の高いテーマ、中心的テーマを読みとり、それについてあなたがどう考えるのかを述べなくてはなりません。

課題文の中で少し触れられているだけのテーマや、例として挙げられているエピソードなどを取り上げ、それについていくら細かく論じても、あまり高い評価にはつながりません。

また、そもそも課題文で取り上げられていない事柄や、課題文の議論とずれたテーマについて論じるのも同様です。

「あなたの考えを述べなさい」と書かれているからといって、なんでも自由に書けばよいということではないのです。

「そんなこと当たり前じゃん!」と思われる読者も多いかと思いますが、普段論文を指導している中で、そういったずれた論文を書く生徒さんや、課題文で取り上げられているエピソード、具体例について長々と書いてしまう生徒さんがけっこう多いのです。

やはり、議論の本質は何か、課題文で展開されている論理の構造を把握することに留意しながら読むことが重要です。


(2)まず最初に課題文を要約させたうえで、意見を論じさせるもの

二番目のタイプとして、「課題文で述べられている筆者の意見を要約したうえで、あなたの考えを述べなさい」とか、「課題文の筆者の考えを要約し、それについてあなたは賛成か反対か、理由を明確にしつつ論じなさい」といったものがあります。

これは一見すると要約するのが面倒な気がしますが、要約することによって課題文で述べられている中心テーマが何なのか、明確にわかりますし、それに即した論文を書くことができるため、(1)に比べるとむしろ書きやすいともいえます。

前半の要約がきちんとできれば、そんなにずれた論文を書くことはないからです。

そのためにはもちろん、課題文を正確に読みとる読解力、およびそれを簡潔にまとめる記述力が必要となります。


(3)課題文を読ませたうえで、テーマを指定して書かせるもの

三つ目として、「次の課題文を読み、○○についてあなたの考えを述べなさい」とか、「課題文を踏まえて、○○についてあなたは賛成か反対か、理由を明確にしたうえで論じなさい」といったものがあります。

これもテーマがはっきりと設定されているぶん、(1)と比べると書きやすいと言えるでしょう。

繰り返しになりますが、指定されているテーマについて正面から論じる必要があります。