2023年12月15日金曜日

早稲田大学スポーツ科学部・スポーツ推薦

早稲田大学スポーツ科学部スポーツ自己推薦入学試験(総合型選抜Ⅲ群)

 

概要(日程は2023年)

 

募集人員:60名

※ あらゆるスポーツ種目で、高等学校または中等教育学校・高等専門学校等(3 年まで)の 在学時に全国大会出場等の優秀な競技成績(高校日本代表および同候補を含む)を有す る者

 

一次試験:書類選考

書類提出:9月15日~28日

一次合格発表:10月25日

 

二次試験:小論文と面接

試験日:11月4日

最終合格発表:11月10日

 

対策

 

1.スケジュール

 主な出願書類は「スポーツ競技歴調査書」、「競技活動及び学業に関する調査書(A4・3枚)」です。提出は9月ですので、夏休みから始めれば間に合います。後者の書類はそれなりにボリュームがありますが、特別な準備が必要なものではないため、さほど時間はかかりません。

 二次試験は小論文と面接です。小論文はかなり傾向がはっきりしているため、この学部のみを受験する場合は、それに絞った対策をしていけばよいでしょう。半年程度あれば十分ですので、GW頃から始めれば間に合います。また、面接は提出書類の内容を中心に聞かれますので、書類の原稿がある程度できてから始めればよいと思います。ただし、一次の合格発表を待っていては間に合いませんので、遅くとも9月中には面接対策を始めるべきです。

 

2.書類準備

 受験生本人が作成するものとしては「スポーツ競技歴調査書」、「競技活動及び学業に関する調査書(A4・3枚)」が主なものとなります。

 「スポーツ競技歴調査書」はこれまでの活動実績に基づいて、成績や記録等を書いていけばよいでしょう。

 「競技活動及び学業に関する調査書(A4・3枚)」は以下の三項目に関して、それぞれA4の用紙1枚に記述するものです。

1.自身の競技力について、同じ種目に取り組む高校生全体の中でどのような位置づけにあると考えるかおよびその理由に ついて記入してください。

2.高校入学後の、競技活動に関するこれまでの目標およびそれに向けた努力のプロセスについて記入してください。

3.現在の学業への取り組みおよび早稲田大学スポーツ科学部入学後の学習計画について記入してください。

スポーツにおけるこれまでの活動実績や今後の抱負と、大学進学後の学習とを関連付けて書くことが大事です。また、スポーツと学業をどのように両立してきたか、またそれを今後も続けていくことができるのか等に関しても触れるとよいでしょう。これらの点に留意しながら、すべての書類が全体として一貫したストーリーになるようにまとめることが重要です。

 

3.小論文

 早稲田大学スポーツ科学部の小論文は、一般入試、推薦入試とも傾向がはっきりしています。例年、スポーツに関するものが出されます。スポーツの意義や効用、スポーツビジネス、スポーツイベントなど、例年、スポーツに関する内容が出題されます。また、遊びや娯楽、退屈など、スポーツそのものからは外れますが、スポーツと関連のあるテーマが出題されることもあります。過去問は公開されていますので、まずはそれらから始めるのがよいでしょう。また、人間にとってスポーツとは何か、遊びとは何かといったテーマに関する哲学的・思想的な考察について学び、自分なりの意見を持っておくことも重要です。ホイジンガ「ホモ・ルーデンス」、カイヨワ「遊びと人間」(ともに講談社学術文庫)の二冊は、読んでおくとたいへん役立ちます。それ以外にもオリンピックやワールドカップなどスポーツイベントの意義や歴史、スポーツビジネス、スポーツと政治といったテーマに関する書籍を読み、知識をストックすると同時に、自身の意見を持っておくとよいでしょう。

 

4.面接対策

 面接は主に提出書類の内容に関して聞かれますので、提出した書類をもとに聞かれそうな質問項目を書き出し、それらに対する返答を準備しておけばよいでしょう。その際、実際の面接を想定し、必ず声に出して練習することをお奨めします。

 

5.倍率(2023年度)

志願者244名(男子127、女子117)→合格者78名(男子40、女子38)

倍率3.1倍

 一般的な推薦入試にみられる男女格差はありません。出願要件を満たしていれば、書類や小論文・面接の準備しだいで十分にチャンスはありますので、ぜひチャレンジすることをおすすめします。

 

2023年12月13日水曜日

上智大学公募推薦

 上智大学推薦入学試験(公募制)


概要(日程は2023年)

書類提出:11月1日~7日

試験:11月25日

合格発表:12月7日

 

対策

 

1.スケジュール

 主な出願書類は自己推薦書(A4・1枚)とレポートです。史学科、フランス文学科、経済学科など、レポートが不要な学科では、課題図書が指定されます。レポートの字数は学科により異なりますが、1200字~4000字程度とかなりボリュームがあります。また、事前準備が必要なものも多く、特に文学部や外国語学部、理工学部のレポートは時間と手間がかかるものと思います。11月の初旬に提出するためには、遅くとも夏休みに入る頃から準備を始める必要があります。

 試験はほとんどの学科が小論文と面接ですが、英文科やフランス文学科、英語学科などでは語学試験と面接です。また、理工学部では数学や物理、化学の知識が必要です。小論文の準備は半年~一年程度は必要ですので、遅くとも春休みごろには始めることをお奨めします。また、面接は提出書類に即して聞かれますので、レポートや自己推薦書の原稿がある程度できてから始めるとよいでしょう。

 

2.書類準備

 受験生本人が作成するものとしては自己推薦書(A4・1枚)とレポートです。史学科、フランス文学科、経済学科などではレポートが不要ですが、代わりに課題図書が課されます。

 自己推薦書はA4・1枚ですので、さほど準備に時間はかかりません。「「志望動機」「学力」「学業成績以外の卓越した能力」「課外活動・社会活動の実績」「特技」等を記述し、自己を推薦する 内容であるもの。」との指示書きがありますので、これに即して書けばよいでしょう。

 レポートが必要な学科の場合、このレポートの内容・水準が合否においてかなり大きなウェートを占めるものとなりますので、しっかりとした準備が必要です。面接でもこのレポートの内容についてかなり突っ込んだ質問がなされますので、いい加減なものを提出してしまうと合格は難しいでしょう。レポートは単なる作文ではありません。まずは必要な資料を収集し、それらをしっかりと読み込み、吸収したうえで、自身の見解を論理的に書いていく必要があります。各学科の課題内容にもよりますが、合格ラインに達する水準のものを書くためには、3か月~半年程度かけて準備をする必要があります。


3.学科ごとの個別テスト

 ほとんどの学科では小論文ですが、文学部英文科、文学部フランス文学科、外国語学部英語学科などでは語学力を問う問題、理工学部では数学や物理、化学の学力を問う問題となります。

 小論文のテーマは各学科で学ぶ内容に関するものとなりますので、例えば法学部を受験する場合は法哲学や法思想について、文学部史学科でしたら歴史について、ある程度の読書量と知識が必要です。半年~一年程度かけて、なるべく多くの文章を読み、なるべく多くの論文を書き、しっかりと準備をしておくことが合格につながります。

 

4.面接対策

 上智大学の面接はとにかく厳しいことで有名です。公募推薦に限らず、カトリック推薦や帰国生入試など、どの入試にも共通した傾向のようです。どのようなことを言われても、動揺したり興奮したりせず、冷静に対処する必要があります。

 主に提出書類(自己推薦書、レポート)の内容について聞かれますので、どのような質問がなされるかを想定し、それに対する返答を準備しておくことです。また、必ず声に出して話す練習をすることをお奨めします。


5.倍率

 学科によりまちまちですが、総合人間科学部教育学科、社会学科、心理学科、文学部新聞学科などは例年、倍率が高め(4~6倍程度)です。一方、文学部や外国語学部では一部の学科を除き倍率が低く、一倍台の学科も多いですが、それらの学科ではレポート課題が難しいため、決してイージーな試験ではありません。倍率は低くとも、志願者のレベルは高く、しっかりとした準備が必要です。ただし、試験日程が遅いことから、上智大学の偏差値の割には、公募推薦は入りやすいと言えます。例年、当方で受験生を指導しているなかでも、そのように感じています。


2023年12月6日水曜日

上智大学カトリック推薦

上智大学カトリック高等学校対象特別入学試験

 

概要(日程は2023年)

    書類提出:9月7日

    試験:9月30日 

    合格発表:11月1日


対策


1.スケジュール

 志望理由書はA4・1枚ですが、学部学科によってはレポートがあります。

 レポートが不要の学部学科を受験する場合、受験生が作成する書類は志望理由書のみですので、夏休み中に書けば間に合います。

 レポートが必要な学科の場合、レポートの文字数はかなり多いので、参考資料の収集・読み込み等も含めると、最低でも数か月の時間が必要です。GW頃までには準備を始める必要があります。

 試験はほとんどの学科が小論文と面接、一部の学科では語学試験と面接です。レポート提出が不要の学科の場合、小論文と面接でほぼ合否が決まると思われます。小論文の対策はやはり半年~一年程度はかけて、しっかりと準備をしていくことをお奨めします。面接は書類についての質問が中心になりますので、志望理由書とレポートがある程度できてから、すなわち8月後半頃から始めるとよいでしょう。

 

2.書類準備

 受験生本人が作成するものとしては志望理由書(A4・1枚)のみですが、下記の学科はレポートが必要です。

レポートが必要な学科

    文学部英文学科・3000字

    総合人間科学部心理学科・1200字

    総合人間科学部社会学科・5000~6000字

    総合人間科学部社会福祉学科・3000字

    総合人間科学部看護学科・2000字

    外国語学部英語学科・A4・2枚

    外国語学部イスパニア語学科・2400~2500字

 志望理由書のみの学科は、A4・1枚ですので、さほど準備に時間はかかりません。「本学や志望学科への興味・関心度の強さ、本学入学後の学業・学生生活プランなど」との指示書きがありますので、これに即して書けばよいでしょう。

 レポートが必要な学科の場合、このレポートの内容・水準が合否においてかなり大きなウェートを占めるものとなりますので、しっかりとした準備が必要です。面接でもこのレポートの内容についてかなり突っ込んだ質問がなされますので、いい加減なものを提出してしまうと合格は難しいでしょう。レポートは単なる作文ではありません。まずは必要な資料を収集し、それらをしっかりと読み込み、吸収したうえで、自身の見解を論理的に書いていく必要があります。各学科の課題内容にもよりますが、合格ラインに達する水準のものを書くためには、3か月~半年程度かけて準備をする必要があります。


3.学科試問(小論文)

 ほとんどの学科では小論文ですが、文学部英文科、文学部フランス文学科、外国語学部英語学科などでは語学力を問う問題、理工学部では数学や理科の学力を問う問題となります。

 小論文のテーマは各学科で学ぶ内容に関するものとなりますので、例えば法学部を受験する場合は法哲学や法思想について、文学部史学科でしたら歴史について、ある程度の読書量と知識が必要です。半年~一年程度かけて、なるべく多くの文章を読み、なるべく多くの論文を書き、しっかりと準備をしておくことが合格につながります。


4.面接対策

 上智大学の面接はとにかく厳しいことで有名です。カトリック推薦に限らず、公募推薦や帰国生入試など、どの入試にも共通した傾向のようです。どのようなことを言われても、動揺したり興奮したりせず、冷静に対処する必要があります。

 主に提出書類(志望理由書、レポート)の内容について聞かれますので、どのような質問がなされるかを想定し、それに対する返答を準備しておくことです。必ず声に出して話す練習をすることをお奨めします。

 また、公募推薦などの一般的な推薦入試とは異なり、「カトリック」推薦ですので、キリスト教やカトリックについて、基本的な知識を身につけたうえで自身の考えをしっかりと話せるようにしておくことが重要です。

 

5.倍率

 公表されていません。

 以前は一部の高校の生徒のみが受験可能であったため、割と簡単に合格できました。その頃はほとんど指定校推薦に近いものでした。しかしながら、2020年から受験可能な高校が一気に増え、倍率が上がり難化しました。

慶應義塾大学SFC(環境情報学部・総合政策学部)AO入試

概要(日程は2023年

 

春AO・夏秋AO・冬AOあわせて総合政策学部150名、環境情報学部150名

 

春AO(現役生は受験できません)

一次試験・書類提出:5月30日~6月1日

        一次合格発表:7月6日

二次試験・面接:7月15日

        二次合格発表:7月19日

 

夏秋AO

一次試験・書類提出:9月1日~4日

        一次合格発表:10月12日

二次試験・面接

    総合政策学部:10月21日または22日

    環境情報学部:10月28日または29日

        二次合格発表:11月1日

 

倍率(2023年度夏秋AO)

総合政策学部

出願664人(男321・女343)

最終合格102人(男27・女75)

環境情報学部

出願533人(男294・女239)

最終合格107人(男51・女56)

 

対策

 

1.スケジュール

 日本の高校に通う現役生の場合、夏秋AOを受験することになります。書類の締め切りが毎年9月の初旬と、他大学に比べて早く、8月下旬にはすべての書類を完成させる必要があります。提出書類の量も膨大なため、夏休みになってから準備を始めるようでは到底間に合いません。なるべく春休みまでに、遅くともGW頃には書類の準備を始めることをお奨めします。

 二次試験は10月の下旬、面接のみです。面接は30分と、他大学のAO入試や推薦入試の面接(10~15分)と比べて、かなり長いです。そのため、かなり突っ込んだことまで聞かれる面接となります。一次の発表が出てから準備していては間に合いませんので、書類提出後すぐに面接の準備を始めるべきです。

 

2.書類準備

 受験生本人が作成するものとしては、活動報告(200字以内)、志望理由書(2000字)、自由記述(A4・2枚)、任意提出資料(10点まで、合計50メガバイト以下)が主なものとなります。

 志望理由書は1.志望理由、2.入学後の学習計画、3.自己アピールの3点です。自由記述ではよりヴィジュアルに、図表や写真などを用い、デザインを工夫して志望理由書の内容をわかりやすく表現するとよいでしょう。また、志望理由書の文章だけではうまく伝えきれない点なども、自由記述で補うとよいでしょう。

 任意提出資料は、主に高校3年間で取り組んだ様々な活動(研究、部活、生徒会・委員会活動、ボランティア、趣味や習い事など)について、自由に作成することができます。証明書や賞状などがあるものはそれを提出しますが、それに加えて、自分で作成した説明資料を添付するとよいでしょう。どのような活動をして、どのような成果を出したのか、そこから学んだことやそれを通じて自分が成長したことなどについて、図表や写真なども用いながら視覚的にわかりやすい資料を作ることが大切です。パソコンを用いた資料作成能力、表現力、プレゼンテーション能力なども評価の対象となるものと思われます。任意提出資料は10点まで、合計50メガバイトまでとなっていますが、この範囲内でなるべく多く出すことをお奨めします。「任意」だからといって、出さなかったり手を抜いたりしているようでは合格できません。

 SFCのAO入試はとにかく書類準備がたいへんです。特に任意提出資料や自由記述をどこまでしっかりと作りこむかが合否を左右しますので、余裕をもって準備を始めることをお奨めします。

 

3.面接対策

 SFCの面接は30分と、他大学の推薦入試に比べてかなり長いです。志望理由やこれまでの活動、大学入学後の学習・研究計画、将来やりたいことなどについて、詳しく聞かれますので、提出書類をもとに、それらの内容を話し言葉で説明できるよう、しっかりと準備をして臨む必要があります。面接の倍率はざっくりと2倍、つまり2人に1人は落とされます。SFCの面接はあくまで試験であり、人柄や雰囲気を見るものではありません。この点、誤解している方が多いのですが、しっかりとした対策が必要です。9月の初旬に書類を提出してから、二次試験の面接までは2か月弱ありますので、書類提出後すぐに面接準備を始めましょう。

 

4.倍率

 一次の書類で1/3ほどに絞られ、さらに二次の面接で半分が落とされます。なので、最終合格の倍率は6倍程度です。男女比ではやはり、他の推薦入試同様、女子が有利です。特に、2023年度の総合政策学部・夏秋AOでは男子が12倍、女子が4.5倍と、非常に大きな差があります。男子にとってはかなり厳しい試験と言えるでしょう。

慶應義塾大学法学部FIT入試・概要と対策

概要(日程は2023年)


A方式・B方式あわせて法律学科80名、政治学科80名

 

一次試験

書類提出:9月1日~5日

    一次合格発表:9月19日

 

二次試験

    A方式:9月23日

        模擬講義・50分→これに関する論述試験・45分

        口頭試問・17分(自己アピール2分を含む)

    B方式:9月24日

        総合考査Ⅰ・45分、総合考査Ⅱ・45分

        面接・10分

    二次合格発表:11月1日

 

法律学科A

出願214人(男73・女141)

一次合格68人(男13・女55)

最終合格45人(男8・女37)

法律学科B

出願142人(男46・女96)

一次合格100人(男27・女73)

最終合格63人(男14・女49)

政治学科A

出願258人(男108・女150)

一次合格68人(男21・女47)

最終合格43人(男13・女30)

政治学科B

出願178人(男60・女118)

一次合格104人(男33・女71)

最終合格62人(男18・女44)

 

対策

 

1.スケジュール

 書類の締め切りが毎年9月の初旬と、他大学に比べて早いため、早めに準備を始める必要があります。8月下旬にはすべての書類を完成させる必要があるため、夏休みになってから準備を始めるようでは到底間に合いません。提出書類も、2000字の志望理由書をはじめ、志願者調書が300字程度×4項目、自己推薦書A4・2ページ、別添資料と、書くもの、作るものがかなり多いです。これらをきちんと完成させるためには、数か月の余裕をもって準備を始める必要があります。できれば春休みまで、遅くともGW頃にはスタートすることをお奨めします。

 二次試験は9月の下旬、論述と面接です。一次の発表が出てから一週間以内に二次試験となりますので、一次の結果を待たずに準備をしておかなくてはなりません。論述・口頭試問の対策は半年~一年ほどかけてやっていくのが理想的です。B方式の面接は主に提出書類の内容について聞かれますので、提出書類の原稿完成後、8月下旬から一か月ほどで準備をすればよいでしょう。

 

2.書類準備

 受験生本人が作成するものとしては、志望理由書(2000字)、志願者調書(300字程度の記述×4項目)、自己推薦書Ⅱ(A4・2ページ、A方式のみ)、別添資料(A4・10枚まで、A方式のみ)が主なものとなります。

 志望理由書は1.慶應義塾大学法学部の志望理由、2.入学後の学習計画(何をどのように学ぶか)、3.将来の夢(自分の夢をどのように実現したいか)の3点です。これを核として、志願者調書や自己推薦書などの内容がすべて一貫性のあるストーリーとしてまとまると、よい書類になると思います。

 別添資料は、自己推薦書Ⅰで記入するこれまでの活動内容に関する証明書や賞状などがあるものはそれを提出しますが、ないものに関しては、どのような活動をして、どのような成果を出したのかなど、わかりやすい資料を自分で作ることもできます。別添資料は10枚までとなっていますが、しっかりと10枚出すのがベストでしょう。自己推薦書Ⅱ、別添資料とも、内容だけでなくデザインや構成も含め、しっかりと気合を入れて作りましょう。ここで手を抜くと合格は難しくなります。

 

3.論述対策

 A方式の模擬講義のテーマは以下の通りです。

    2019年:自由の過去と未来

    2020年:民主主義は後退しているのか

    2021年:「多様性」の過去と未来

    2022年:SNS 上の誹謗中傷と刑法

    2023年:陰謀論と現代政治

 講義(50分)を聴いた後、それに関する設問が与えられ、小論文を書くことになります(45分)。講義のテーマが政治思想・政治哲学、法思想・法哲学に関するもの、最近の世の中の風潮を法学的、政治学的に考察したものとなりますので、普段から法学や政治学に関して一般向けに書かれた書物(新書など)を読んでおくとよいでしょう。また、新聞やテレビのニュース、NHKの特集番組等をみて、政治経済や社会問題、テクノロジー、環境等に関する知識を身につけておくことです。そのうえで、それらに関する自身の意見をまとめる訓練をしておくとよいでしょう。また、講義理解に不安がある方は、YouTubeで様々な大学の模擬授業などがみれますので、それらの中から法学や政治学に関するものを選んで視聴し、自身の意見を文章にまとめる練習をしておけばよいでしょう。

 B方式の論述は2題、それぞれ45分、400字です。総合考査1では図表やグラフが与えられ、そこから読み取れることを400字でまとめるというものが多いですが、年度によってはそれに対する解釈も求められることがあります。図表は特に政治学や法学的なものに限らず、幅広く出題されます。総合考査Ⅱは政治学・法学的テーマの小論文、45分で400字です。法律に関する細かな知識は全く必要ありません。それよりも、法思想や法哲学、政治思想・政治哲学における基本的な言葉や概念を知っておくこと、またそれらについて自身の意見をしっかりと持っておくことが有効かと思います。そのためには前段落でも述べたように、これらのテーマに関する書物をなるべくたくさん読み、論文をなるべくたくさん書くという訓練をしておくことです。

 

4.口頭試問・面接対策

 A方式では最所に2分で自己紹介・自己アピールをした後、与えられたテーマに関する口頭試問が行われます。口頭試問のテーマは法学科と政治学科で異なりますが、例年、法学や政治学に関する問題が出題されます。対策としては、論述対策で書いたことと同様ですが、これに付け加えて、話す練習はしておく必要があります。論文で文章として書くことを、口頭で話す訓練を普段からしておくとよいでしょう。文章を書くのと言葉で話すのとは違いますので、普段から話す練習をしておかなければ、本番でいきなり話すことはできません。まして、試験当日は緊張するでしょうから、上手く話すのはなかなか難しいと思います。

 B方式の面接は、主に提出書類の内容に関して聞かれますので、書類で書いたことと一貫性のある受け答えをしなくてはなりません。ここがずれていると、不信感を持たれますので、書類で書いた内容を、もう一度、より丁寧に話し言葉で説明するという姿勢で臨むとよいでしょう。対策としては、提出書類をもとに想定される質問を書き出し、これに対する答えを準備しておくこと、必ず声に出して話す練習をしておくことです。

 

5.倍率

 A方式は5~6倍程度、B方式は3倍弱と、評定(4.0以上)が必要なB方式のほうが倍率は低いです。なので、高校1,2年生でこれを読んでいる方は、できるだけ学校の成績を上げて、B方式でも受験できるようにしておくとよいでしょう。また、男子に比べて女子の方が圧倒的に倍率が低いので、女子には特におすすめ。逆に言うと、男子には厳しい試験です。これは慶應大学やFIT入試に限らず、推薦入試一般にあてはまることですが、おそらくその理由は社交性やコミュニケーション能力の違いにあると思われます。高校生ぐらいの年齢では、言葉や文章で自分を表現する能力は、一般的には女子の方が男子よりも長けているものと思われます。しかしながら、書類はもちろん面接や論文も、準備や訓練しだいで改善することができますので、特に男子の場合は早くから準備を始めることが合格につながります。

 また、一次試験でかなり数が絞られます。特にA方式の場合は一次で1/3~1/4程度にまで絞られますので、一次の書類が特に重要です。しっかりと時間をかけて準備をする必要があります。書類で少しでも手を抜くと、ほとんど不合格となります。一次をパスしてしまえば、二次の倍率はA、Bともに1.5倍程度ですので、最終合格の可能性はかなり高まります。

 

志望校選びと目標設定

大学受験の勉強をするうえで、志望校を決めること、目標を設定することは非常に重要です。

特にこれといっていきたい大学もなく、ただ漫然と勉強していてもあまりやる気が出ないよね。

また、志望校が決まらなければ受験の形態や受験科目、客観式テストか記述式テストかも決まらない。

そうすると、何を勉強したらいいかわからないということになってしまう。

ですからやはり、志望校はなるべく早く決めるにこしたことはないのです。

後から志望校を変えてもいいんですよ。

もちろん変えないほうがいいんだけど、勉強をすすめていくなかでどうしても他に行きたい大学や学部が出てきたらしょうがない。


たしかにどこの大学に行くにしても基礎力は必要ですから、まずは主要科目の基礎をしっかりやっておくというのは一理ある。

でも、例えば一般入試で私大文系を受けるなら、数学や理科の勉強はしなくていい。

学校の定期テストで赤点を取らない程度にやっておけばよい。

その分、英語や国語に集中して取り組むべきなんです。

あるいは同じ文系でも例えば東大を目指すのであれば数学はしっかりやっておかなくてはいけない。

早稲田や慶応を受験するつもりで勉強してきて、途中から「やっぱり東大とか、国公立も受けたい」なんて言っても遅い。

まあ、2,3年かけてやるつもりだったらいいけどね。


で、とりあえずは一般入試かAO/推薦入試を目指すのか、私大か国公立か、文系か理系か・・・

これらをいつまでに決めればよいのか?

遅くとも高校に上がる頃には決めてください。

例えばAO・推薦入試をメインで考えるとしたら、学校の成績を上位にキープしておかなくてはならない。

評定平均が評価の対象に含まれることが多いからね。

主要科目だけではなく体育や音楽なども含めた全教科、まんべんなくいい成績をとっておかなくてはいけない。

評定平均は高1の1学期の成績も入るから、1学期の中間・期末からしっかりとっておいたほうが断然有利なんです。

高3になってからはじめてAO・推薦入試を受けようと思っても、評定が足りなくて○○大学には出せないとか、そんなに行きたくないんだけど××大学しか出せないとか、そういうことになる。

そうならないためにも高1の段階ですでに評定を意識して勉強をしておいたほうがいいんですよ。


逆に、こういった試験は考えずに一般入試だけを受けるのであれば、学校の成績よりも受験学力をつけることを意識して勉強する必要があります。

先生によって異なるから一概には言えないんだけど、学校のテストって、授業でやった内容やテキスト・プリントをとりあえず丸暗記していればそこそこ点が取れるものが多いじゃないですか。

例えば英語の読解のテストだったら、教科書やプリントの英文とその和訳を、意味や理屈がわからなくてもとりあえずは丸暗記しておけばけっこう点が取れたりする。

でもこういった勉強の仕方では当たり前ですけど学力はつかない。

単語や熟語を暗記するのはいいんだけど、英文和訳だったら、なぜそういう訳になるのか、
英文の構造や文脈の中での単語の訳し方、意味の取り方などを理解しておかなくてはいけない。

これが、学力をつけるための勉強なんですよ。

だから、丸暗記しておきさえすれば点が取れるようなテストでは、いくら高得点が取れたとしても学力の向上にはつながらない。

はっきり言って無駄な勉強だよね。

だから、そんなことにあまり時間を割かずに、学力をつけるための受験勉強をやったほうがいい。


都内の中高一貫校なんかだと、学校の近所にその学校の生徒のみを対象とした塾がけっこうあるんですよ。

「○○中高の生徒さんだけの専門塾」みたいな。

で、こういうところは何をやっているか?

過去の中間・期末の試験問題を大量にストックしていて、「あ、田中先生だったら一学期の期末はこれね、毎年ほとんど同じだから」とかいって、過去の試験問題とその解答をコピーして生徒に渡すんですね。

で、生徒は問題と答えを丸暗記していく。

ほとんど同じ問題が出るから、高得点が取れるんですよ。

こういうところが結構人気があったりするんだよね。

この話を初めて聞いたときはびっくりしたというか、あきれてしまったんだけど、こういうところに子供を通わせる親がいることも事実なんです。

しかも「すごい、いい塾よね。お金払うだけの価値があるわね!」なんて言いながら。

もうね、アホかと、馬鹿かと…


脱線してしまいましたが、そういうてっとり早く点数だけとれればいいという姿勢では、学力はつかないし、ましてや思考力なんか全然つかないからね。

だから、一般入試を目指すんだったら、学力を伸ばすことを常に意識しながら勉強することが大事。

自分が今やっている作業ははたして学力向上につながるのか、あるいはただ単に目先の点数を取るためだけの勉強なのか、そういうことをいつも意識してください。

で、学力の向上につながらないものはなるべく切っていく。

その時間と労力を学力向上につながる勉強に割り当てていく。

こういった姿勢で勉強することが重要です。


じゃあ、AO・推薦入試を目指す場合はどうなんだと。

さっきのような塾に行ったほうがいいんじゃないかという意見もあるかもしれない。

確かに、学校の成績を伸ばして評定平均を上げるというだけならいいでしょう。

限りなくカンニングに近いやり方だから、最小努力で効率よく好成績をとれる。


でも、AO・推薦入試は評定だけじゃないからね。

志望理由書やレポートのような書類、小論文、面接がある。
場合によってはプレゼンテーションやグループディスカッションまであるからね。

こういう試験で評価されるポイントは何か?

論理的思考力と表現力、
幅広い知識や教養、
自分の頭で物事を考えることができること、
オリジナリティ、
将来に対するビジョン、
目標が明確であること、
その目標に向かって地道に努力できること、…etc.

あげていけばきりがないんですけど、こういった点が評価されるんですよ。

「過去問見て答えだけ丸暗記していれば点が取れてラッキーだよね」
なんてイージーな考え方のひと、そういうセコい奴は評価されないよ、たぶん。

特に一流大学は。

他にも優秀な受験生がたくさん受けるからね。

だってこういう人をとっても、大学に対してなんのコントリビューションもしないだろうから、大学側もとる理由がないんですよ。

だから、AO・推薦入試を受ける場合もやはり、それに向けた努力が必要。

もちろん一般入試とはまた違った準備になるんだけど、先に挙げたような能力を伸ばしていかなくてはならない。


うちでも毎年AO・推薦入試の子たち見てるけど、やっぱりまじめで優秀な子が受かるんです。

一流大学になればなるほどそう。


で、最初の話に戻るけど、とにかく早く目標を決めて、それに向けた準備を始めることが重要という話なんですね。

一般入試か推薦入試か、私大か国立か、文系か理系か。

高校生になったらすぐにでも決めてください。