2018年7月1日日曜日

小論文の書き方①:知識はどれほど必要か

普段、AO入試・推薦入試の小論文を教えていると、生徒からよく聞かれるんですよ。

「小論文を書くには、やっぱり知識が必要ですよね?」とか、「どれくらい知識を覚えないといけませんか?」とか。

あるいは、「知識はどうやって身につければいいですか?」など。


AO入試・推薦入試の小論文を書くために知識は必要か?

もちろん、必要です。

でもたぶん、受験生の皆さんが考えている知識とは少し違うかもしれない。

例えば、歴史の授業で覚えるような人名や出来事、年号など、あるいは政経や現代社会で覚えるような偉い思想家の名前や書物のタイトル、制度の名前や仕組みなど。

こういった知識はもちろん、あればあるに越したことはないのですが、必ずしも必要というわけではない。

AO入試・推薦入試の小論文の対策として、こういった知識を大量に暗記する必要はないし、仮に暗記したところで、それだけでは必ずしも小論文が書けるようになるわけではないんです。


では、AO入試・推薦入試の小論文を書くために必要な知識とは何か?

それは、小論文のテーマとなるようなトピックに関して、なるべく多くの言葉の意味・概念とその使い方、それぞれの言葉の関連性を覚えるということなんですよ。

例えば最近では、少子高齢化や社会的格差、貧困、環境問題などが頻繁に、AO入試・推薦入試の小論文のテーマとして出題されます。

こういった課題に取り組む場合、例えば下記に挙げるような言葉の意味をある程度は理解しておかなければいけない。

少なくとも、それを自分が書く論文の中で使えるぐらいには。

市場経済、計画経済、統制経済、自由主義、資本主義、社会主義、無政府主義、イノベーション、規制、規制緩和、自由化、IT、年金、社会保障、世代間格差、格差の固定化、労働組合、経営者、株主、株式会社、株式市場、NGO、NPO、GDP、一人当たりGDP、南北問題、南北間格差、グローバリズム、保護貿易、保護主義、自由貿易、貿易不均衡、ナショナリズム、リベラリズム、資源ナショナリズム、CO2排出権取引、為替市場、円安と円高、金融、製造業、サービス業、需要と供給、労働市場、市場メカニズム、国債、赤字国債、財政危機、差別化、自然エネルギー、化石燃料、…etc.

ざっと思いつくままに書いてみましたけど、まだまだ他にもいくらでもあります。

どうでしょう?全部、説明できますか?


今あげたのは主に経済を論じる場合の言葉ですけど、政治や自然科学、科学技術、医療、コミュニケーションなど、AO入試・推薦入試の小論文のテーマは多岐にわたるので、様々な分野で用いられる言葉をきちんとマスターし、使いこなせるようにしておくことが重要です。

このような言葉の知識こそが、AO入試・推薦入試の小論文を書くために必要な知識なんですよ。


では、このような言葉を使いこなせるようになるためにはどうすればいいのか?

いろんな経路で身につけることができます。

まずは読書。

AO入試・推薦入試を受験する皆さんは、一般入試の受験生に比べて、学科の勉強をしなくてもよい分、時間に余裕があるはずなんです。

で、その余裕のある時間の一部をぜひとも読書に割いてほしい。

時事問題や学問的知識を高校生でもある程度分かりやすく読めるのは、やはり新書です。

昔に比べると、最近は新書のレベルが随分と下がってきたので、くだらないもの、低俗なものもたくさんあります。

まあ、これは新書に限らず、出版・言論のレベルがここ20年ぐらいで急速に下がってきているように思います。

非常に残念ですけど。

なので、内容と著者とをよく吟味して選ぶことが重要です。

そうはいっても、きちんと書かれているものもまだまだ多いので、AO入試・推薦入試の小論文の対策として読書をするのであれば、やはり新書はおすすめです。


また、雑誌やネット上の解説記事、ニュースサイト、ブログ、メールマガジンなんかも優れたものがたくさんありますので、これも内容と作者をよく吟味して、自分の興味のあるものをどんどん読んでいくとよいでしょう。

wikipedia なんかも、いろいろと批判があるようですけど、すごく使えると思いますよ。

文章を読んでてわからない言葉が出てきたら、そのままにせず、どんどんリンク先をたどっておぼえていくといい。


他には、テレビのドキュメンタリーや解説番組、討論番組なんかもAO入試・推薦入試の小論文対策としては大いに役に立ちますし、そういう番組を見ながらわからない言葉が出てきたら、親御さんに聞くのもいいと思います。

先ほど挙げたような言葉はどれも、我々大人にとっては当たり前の、どうってことない言葉なんですけど、高校生ぐらいだとあまり知らなかったり、間違えて理解してたするんですね。

だから、わからなかったら周りの大人に聞くといいと思いますよ。

そうやってどんどん言葉の知識、使える言葉を増やしていくことが、AO入試・推薦入試の小論文が書けるようになるためには重要です。


最後に、渕上塾で小論文やAO・推薦入試対策を受講するのも当然おすすめです。

渕上塾の授業では、いろんな言葉について、その背景知識や周辺知識も織り交ぜながら、わかりやすく説明していきます。


とにかく言葉を知らないと、AO入試・推薦入試の小論文は書けない。

それ以前の問題として課題文が読めない、理解できない。

だから、AO入試・推薦入試の小論文が書けるようになりたければ、まずは言葉に関する知識を増やすことが重要です。