2018年10月19日金曜日

小論文の書き方④:主張を明確に

さて、テーマが決まったら次はそれに対するあなたの意見を述べなくてはいけません。

「・・・(というテーマ)について、わたしは×××(あなたの意見)と考える」とか、「・・・についてわたしは賛成である(または反対である)」といったように、テーマに関するあなたの意見をはっきりと、明確に主張することが重要です。

日本人の国民性からすると、このように自分の意見を白黒はっきりと主張するというのはどうも苦手な人が多いかもしれません。

「・・・と思うけど、でもそういう考え方も理解できるよね」とか、「・・・はメリットもあるけど、デメリットもあるから、難しいよね。どっちがいいか、はっきりとは言えないよね」とか、普段、こういう感じで話すことが多いですよね、我々は。

「あなたはそういうけど、それは違う。・・・が正しいんだよ」なんて、めったに言わないじゃないですか。

そんなこと言ったら議論どころか口論になりかねない。

だからなんでも曖昧なままにして自分の意見や考えは腹に収めておくというのが、われわれの習慣になっていると思うんですよ。


しかし、小論文はそれではダメなのです。

「・・・については、メリットもあるがデメリットもある。難しい問題だ。」と書くのではなく、「・・・については、メリットもあるがそれを上回るデメリットがあるので、私は反対である」と書くべきです。

あるいは、「・・・について、これから日本人は真剣に議論し、考えていく必要がある」と書くのではなく、「・・・について、現時点で私は×××と考える」と書かなくてはならない。


重要なのは、日本人一般や我々みんなの意見ではなく、あなたの意見、あなたの考えなのです。

これをはっきりと主張しないのであれば、論文を書く意味はないのです。


先ほども述べたように、小論文とはあなたに何かしら主張すべき意見があり、それをみんなに納得してもらいたい、異なる立場の人を説得したい、そのために論理的根拠を挙げて自分の意見の正しさを証明する、このような意図を持って書くべきものなのです。

どうしても主張したい自分の意見なんてない、あるいは意見はあるが、あえてそれを他者に表明したり、誰かを説得したいとまでは思わない。

もしそうであればわざわざ論文なんて書く必要はないよね。

黙ってればいいんですよ、そのほうが楽ですから。

「沈黙は金なり」というように、あえて黙ってるほうが得なことは世の中では多いですよね。

しかし、それでは小論文は書けないのです。

はっきりと、明確にあなた自身の考えを表明しなくてはならない。


普段、塾で生徒さんの書くものを読んでいると、これができていない論文がわりと多いのです。

先ほど書いたように「・・・は難しい問題だ」とか「・・・について、我々は真剣に考えなくてはならない」とか。

これからみんなで議論しましょうみたいなことを書いている。

あなた自身はどう考えるの?

賛成なの反対なの?

聞いても、「うーん...」と唸ってしまう。


どうしても意見が持てない、思いつかないということであれば、とりあえず自分の本音でなくても構わないので、何らかの意見を想定する。

例えばあるテーマに関して、自分自身は賛成とも反対とも言い切れない、難しい問題だと思っているとする。

それでもとりあえず、小論文を書くためにあえて賛成の立場、あるいは反対の立場を取ってみることです。

これは普段から思考実験、練習としてやっておくと、小論文を書くうえで非常に役に立ちます。


例えばあなたが消費税増税について反対だったとする。

当然、反対する理由はいくらでも挙げられるでしょう。

しかし、ここであえて、賛成の立場に立ってみる。

本心とは異なる賛成の立場に立って、果たしてどのような論拠を挙げて反対派を説得するか、考えてみる。

様々なテーマに関して、こういう練習を普段からやっておくことで、一つの課題に対していくつもの異なるストーリーの論文を書けるようになります。