2023年10月15日日曜日

小論文「あるある」⑨

小論文とは具体例や個人的なエピソードを書くものだと思っている。


ボランティアや留学に限らず、小論文では何らかの体験や具体例をあげなくてはならないと思っている方が非常に多いんです。

特に、小論文の勉強を始めてまだ間もない生徒さん方が必ずと言っていいほど聞いてくる質問が、「具体例を書いたほうがいいですか?」とか、「何か例をあげなくてはいけないんですよね?」とか。

それくらい、みんな小論文では具体例を書かなくてはいけないと思いこんでいる。

でも、繰り返しになりますけど、小論文は論理的整合性や説得力、オリジナリティを競うものであって、個人的な体験を語り合うものではないんですよ。

だから、具体例や自身が体験したエピソードなんて、そこに書くべき必然性がなければ特に書く必要はありません。


だいたい、600字や800字といった字数制限がある問題で、長々と具体例や個人的な体験などを書いてしまうと、肝心の論理をしっかりと書く余裕がなくなってしまう。

個人的な経験や体験に基づいて自分の主張を正当化しようとしても、そのような経験や体験を共有していない他者にとってはぜんぜんピンとこない、実感がわかないんです。

だから、説得力がないし、賛同したり共感したりできないんですよ。


生まれ育った環境や趣味嗜好、主義主張など、様々な点で異なる人同士が、何らかのテーマについて議論する場合、互いに共通理解に達するために必要なものはなにか?

それはそれぞれの個人的経験やエピソードではありませんし、ましてや気持ちや思いでもありません。

やはり論理をおいてほかにはないのです。

ですから、小論文においては具体例や個人的なエピソードをあげるよりも、まずはきちんとした理屈を書いてください。


2023年10月4日水曜日

小論文「あるある」⑧

小論文は、それまでのボランティア活動や短期留学など、個人的な経験に基づいて書くものだと思っている。または、小論文を書くためにはそのような経験が必要だと考えている。


「小論文を書けるようになるために、まずはボランティア活動に参加してネタを作らないと」とか、「うちの子は語学留学してるから、小論文を書くのに必要なネタは十分あるんです」とか言う方、けっこういるんですよ。

でも、小論文ってそんな経験で書くものじゃないからね、本来は。


もちろん、論文を書いていく中で必然性があれば、自分の経験や体験に基づくエピソードや具体例を挙げてもいい。

しかし、そのような具体例やエピソードだけでは論文にはならないし、小論文においてそれらが特に必要であるわけではない。


そもそも小論文とは自分の意見なり主張なりを論理によって説明すべきものであって、個人的なエピソードを語るものではないんですよ。

だってそうでしょう、考えてもみてください。

誰かがあなたと異なる意見を主張したとする。

で、その相手が、自分自身の個人的な経験や体験を語って、だから自分の意見は正しいんだ、あなたの意見は間違っているんだと主張したらどうですか?

あなたは納得しますか?

納得しないよね。

「それはあなた自身の個人的な経験であって、万人に共通のものではないし、そもそも私はそんな経験していないから、あなたの言うことがわからない。」となるんじゃないでしょうか。


あるいは、あなた自身の主張の正しさを証明するために、あなたはあなた自身の個人的なエピソードを語るかもしれない。

でも、小論文ってお互いの個人的な経験や体験を語り合うものではないんですよ。

あくまで論理に基づいて議論するのが小論文。

だから、いくら個人的なエピソードを語ってもそれだけでは主張の論拠とはなりえないし、同じ体験を共有していない人を説得することはできないんですよ。


もちろん、ボランティアや留学といった、自分の中では大きな経験といえるものを小論文の中で書いてもいいんですよ。

でも、そこで見聞きしたことだけをもって、何らかの意見の正しさを主張することはできない。

あなたの論文を読む人はあなたと同じ体験を共有していない以上、あなたの主張に納得するとは限らないからです。


逆にいえば、自分の主張の正当性をきちんと論理的に説明できるのであれば、個人的なエピソードや具体例など一切書く必要はないんですよ、小論文では。

だから、小論文を書くためにボランティアや留学、その他なんらかの特別なプログラムに参加する必要は全くないし、そういったものに参加したからと言って優れた小論文が書けるようになるということは全くない。

一部の塾ではそういったプログラムを、これでもかというぐらいに次から次に提供して、生徒や保護者をしつこく勧誘していますよね。

でも、あれは単なるビジネスだからね。

その塾の売り上げや利益のためにやっているんであって、生徒が論文を書けるようになるためではないですからね。

むしろ、そんなことをする時間と労力、お金があるんだったら、一冊でも二冊でもいいから、まともな内容の本を読んで、自分自身の知識を広げ思索を深めること。

そして、それを文章にまとめてみること。

こういった訓練をすることのほうがよっぽど小論文を書くうえでは役立ちますよ。


2023年10月3日火曜日

小論文「あるある」⑦

要約が本文のコピペである


小論文の問題では最初に課題文の要約を要求するものがよくあります。

例えば問1で課題文を要約させて、問2でそれを踏まえて自分の意見を述べさせるというような問題です。

こういった要約の問題では、課題文からいくつかの文をそのまままカット&ペーストするのではなく、自分の言葉に置き換えてまとめる必要があります。

もちろん、課題文に出てくるキーワードはきちんと盛り込む必要がありますし、課題文中の言い回しをそのまま使用するのも構いませんが、「てにをは」に至るまで課題文そのままではまずいでしょう。

筆者の文章を、内容は変えずに自分の言葉に置き換えて簡潔にまとめる、これが要約です。